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プロフェッショナルスキャンガイド(上級編)

LCC Studio対応の高度なスキャンガイド。K1・L2・L1・Insta360・ドローンを活用する専門ユーザー向けの完全ドキュメント。

v5.0LCC スキャニングガイドライン 最新版

更新履歴

v5.0(最新)

  1. HD Enhancement(高解像度補完)のガイド追加
  2. Aerial-Ground Map Fusion(空中・地上融合)のスキャンガイドを更新。離着陸図の追加とNG条件の明記
  3. Map Fusion・Aerial-Ground Map Fusionのスキャン制限は削除(詳細はLCC Studioに記載)

v4.0

  1. Map Fusionのルールを明確化(過度なオーバーラップを避ける方法)
  2. Aerial-Ground Map Fusionのスキャン手順更新
  3. Lixel K1の大規模ループスキャン対応手順を追加
  4. ジグザグ歩行図の差し替え

一般ガイドライン

機材準備(Equipment Preparation)

⚠️ レンズの清掃はスキャンごとに必須です。

汚れたレンズは点群精度とカラー化品質に大きく影響します。

動作の基本(Movement Fundamentals)

  • 屋内や近距離でのスキャンでは、素早い回転・揺れ・スイングなどの急な動作を避けてください。
  • 推奨:ゆっくり曲がる/適切な半径で回転する/特に低照度では丁寧な操作を

避けるべき動作の例:

  • クイックターン
  • 手首の揺れ
  • 方向の急変

💡 後ろを歩く同行者は、スキャナーのLiDARやカメラ視野を遮らないよう距離を保つことが推奨されます。

デバイス別スキャン設定

Lixel K1スキャニング

ファームウェアバージョン確認

スキャナーのファームウェアが v1.2.0以上であることを確認してください。

スキャン角度

  • スキャン中は、スキャナーを歩行方向に対して15〜20°下向きに傾けて持ちます。
  • これにより、LiDARが約5m先の地面を効果的にスキャンできるようになります。

レンズの向き

開けた空間:

カメラのレンズは左右方向(片方が左・もう片方が右)を向くように構えます。スキャナーの丸いスイッチボタンが自分側を向くのが基本です。

廊下や狭い空間、出入り口:

スキャナーを横向きに構え、片方のレンズが進行方向を向くようにします。

大規模スキャン(長距離)

  • スキャンルートが長い場合は、500mごとに軌跡を重ねてループを形成することで、ドリフト(誤差蓄積)を防ぎます。
  • もしこれが物理的に難しい場合は、RTKの使用、もしくは軌跡交点に相対コントロールポイントを配置してください。

Lixel L2 Proスキャニング

レンズの向き(K1と共通)

  • 開けた空間: 左右方向を向くように構える(ボタンはオペレーター側)
  • 狭い空間や出入り口: 横向きに構える(進行方向にレンズを向ける)

Insta360 ONE RS(+L1/L2使用時)

カメラマウント

Insta360とスキャナーはしっかりと固定してください(マウントの緩みは誤差の原因)

録画設定(基本)

  • モード: ノーマルビデオモード
  • 解像度: 6K
  • フレームレート: 24fps
  • 露出: オート
  • カラー: 標準プロファイル(Standard)

露出設定(上級オプション)

暗所や低光量環境では手動設定(ISO固定+シャッター自動)に切り替えることで再構成精度が向上します。

環境推奨ISO
屋外、明るい100
室内(適度な明るさ、窓あり)200
室内(やや暗い)400
暗い室内、照明が少ない800

⚠️ ISOは800までを上限とし、それ以上はノイズ発生に注意。ISO 100で1/100秒前後になるよう観察・調整してください。

照明条件とスキャン速度の最適化

照明環境の基本

  • スキャン現場は均一で安定した照明環境が理想です。
  • 直射日光は避ける。屋内では照明ON・カーテン開放。
  • 屋外では「曇りの日の正午ごろ」が最も安定した自然光環境。

光量が不十分なときの対処:

  • スキャン速度をゆっくりに(例:0.5m/s以下)
  • 異なる視点から重複して撮影する
  • 室内ではライトを追加し、照度差のある空間は避ける

ライトの一貫性確保(HD Enhancement/Map Fusion時)

  • 各マップセグメントの撮影はなるべく同じ時間帯に終えること(2時間以内推奨)
  • 朝・夕・晴天と曇天をまたぐスキャンは避ける

スキャンルートの計画(Path Planning)

ループの重要性

ループ(閉じたルート)を作ることで、マップ精度と整合性が大幅に向上します。

有効なループの条件:

  • 同じ場所に戻る際、視野方向の差が±40°以内
  • 開始点と終了点が視線角的に一致していること

ループの種類

✅ 終点ループ(End Loop)

  • スキャンの開始地点に戻って終わるルート設計
  • 小〜中規模の現場では有効

✅ 中間ループ(Midway Loop)

以下の条件下では途中に1回以上のループ形成が推奨されます:

  • ループ条件を満たしにくい構造
  • 大規模な空間
  • 遮蔽物が多い、狭い構造が連続する現場

狭い空間でのスキャン戦略

狭い室内・通路では、スキャンルートに小さなループを4か所以上含めると精度が向上します。

マップ融合(Map Fusion)

技術仕様

  • ソフトウェア要件: LCC Studio v1.6.0以降
  • データ制限: 最大10スキャン/合計200分
  • 機器の互換性: 同一機種間でのみ統合可能(例:K1同士、L2同士)

重複条件

連続スキャン間には15m程度の重複エリアを必ず含めること

❌ NG例:

  • 10m未満の重複
  • 一方のスキャンエリアが他方と完全に重複してしまう

✅ OKな重複配置:

  • テクスチャが豊富な場所を選ぶ
  • 暗所、階段、細い通路、ガラスなどの反射面は避ける

空中-地上マップ統合(Aerial-Ground Map Fusion)

必要条件

  • ドローン・ハンドヘルドともにRTKが有効
  • WGS84座標系で一致させること
  • RTK信号は全スキャン中安定していること
  • ドローンが多焦点カメラを使う場合は焦点距離を固定
  • 空撮データは離着陸エリアを含む必要あり

空中スキャン(ドローン)要領

撮影方式

  • 斜め撮影(Oblique)方式
  • 格子状(Tic-tac-toe)飛行ルートが理想
  • オーバーラップ率 80%以上

高度設定

  • 原則:地上から最も低い安全高度(50m以内)
  • 大規模/複雑な構造では異なる高度(2段階まで)で複数回撮影
  • 隣接する高度差は2倍以内

離着陸セクションの撮影要件

ケース1件につき3〜4回以上の離着陸画像を含める(大規模ケース:50〜100mごとに1回)

各離着陸シーケンスの内容:

  1. 地上ショット:
    • 手持ちスキャン軌跡と視野重複がある位置
    • ドローンは少し離れてもよいが、距離1.5倍以内
  2. 上空ショット:
    • 空撮FOVと位置が重複している必要あり
  3. スムーズな視点遷移:
    • カメラ角・位置がなめらかに繋がる
    • 連続画像の重複率80%以上

HD Enhancement(高精細画像補完)

小規模エリアの再構成精度を上げるために、高解像度画像列を追加できます。

LCC Studio v1.8.0では、最大20〜500枚のJPG/PNG/JPEG画像に対応

画像要件

一貫性のあるカメラ情報:

  • 同一カメラ・同一解像度・同じ焦点距離
  • NG:レンズ混合、焦点距離変更、画像のクロップ

最適FOV(視野角):

  • 水平方向:約100°前後
  • スマホなら0.5x(広角)、一眼なら16mmフルサイズ

避けるべき撮影対象

種類
単色エリア白壁、すりガラス、空白の机など
パターン反復芝生、レンガ、カーテン柄など
反射面鏡、水面、ツヤのある壁
動的環境木の枝、LEDパネルなど

最終補足

  • このガイドは LCC Studio v1.8.0 以降 を前提としています。
  • 機器のファームウェア・アプリのバージョンは常に最新に保つよう推奨されます。